今年は梅雨明けがとても遅く、明けたと思えば記録的な猛暑が訪れ、大変厳しい夏といえそうです。

養生学においては、自然の気候の変化を表す、「六氣」というものがあります。
「六氣」の六つの要素は、風・寒・暑・湿・燥・火であり、それらが正常に変化せずバランスが崩れたとき、「六邪」、つまり病気の始まりとなりやすいと言われています。

異例の長梅雨を終えた今夏は、いつも以上に、からだに意識を向けることが必要なのかもしれません。

夏は、“心靜自然涼”。

心静まれば、おのずと涼しく感じられる。

いまはココロの試練となる季節でもあり、きちんと乗り越えれば、秋冬の元気のもとが作られるときである、とも言えるでしょう。

現代のわたしたちは、便利な家電製品と暮らしていますね。
快適な反面、頼りすぎると自力での体温調節がしにくくなりますから、
エアコンや扇風機とは、ほどよいお付き合いがしたいものです。

小宇宙食堂では、暑い季節でも“おひや” はお出ししていません。
からだに入れるお水の温度は体温と近いことが理想的。
がぶ飲みでは、からだに吸収されづらく、むくみも出やすくなります。
お口の中にすこしとどめて、ゆっくりと飲み込む。
すこし意識してみるだけで、からだに優しい飲み方になりますね。
また、少しバテているからだには、
あえて熱めのお茶をゆっくりと飲むこともおすすめです。
やさしく汗をかけば、自然と涼しさを感じることができます。

ところで、台湾では農暦でいう7月を、「鬼月」とよぶことをご存知でしょうか。
今年の旧暦7月は、8月19日から1ヶ月をさします。

“鬼”は、台湾では幽霊のこと。
この時期には、あの世の扉が開き、幽霊たちが戻ってきて、
人間の世界で自由に動くことができるとされているのです。
日本のお盆にも少し似ていますね。

まるで幽霊たちにとっての夏休みのような1ヶ月。
人間たちはこの期間、幽霊たちに失礼なことがないように、
気をつけながら静かに暮らします。
ごちそうをたっぷり用意してお供えものをし、
平和な暮らしをお願いするのが台湾のならわしです。